地気食学vol.01 |富士山と共に生き、うどんと糸で編み出した「山梨/富士吉田市」_吉田のうどん編(上)

 

BreatheTOKYOの新企画「地気食」の舞台に私たちが選んだのは、東京から車で約二時間。富士山の北麓で標高700-900メートル。山梨県の富士吉田市です。富士吉田を知ったきっかけはBreatheTOKYOの日本メンバーが彼の母親の故郷で「硬い」ことで有名な「吉田のうどん」が大好きで、そのことを私にシェアしてくれたことがきっかけでした。

出張の途中など昼この辺りを通る時は必ず、彼のオススメするとっておきの吉田のうどんのお店にメンバーで訪れ、ここでしか食べられない味を楽しんでいました。これが私の富士吉田に対する最初の記憶です。夏になると多くの富士山に登るために登山客が「吉田口」に集まっているというイメージもありました。

他には新倉山浅間公園の忠霊塔と富士山の桜の景色(下写真参照)がインスタ映えスポットとして拡まりたくさんのタイの観光客が訪れ、その後様々な国に拡散されたことでも有名になりました。

 他にも昭和の街並みに映える富士山の景色がインスタ映えスポットとして拡散したり、楽しく刺激的な富士急ハイランド、そして隣町には誰もが知っている河口湖の観光スポットなど富士吉田は実は皆さんにとってもおなじみの場所でもあると言えます。

 訪れた二日目、幸運にも雲ひとつない快晴で(午後は少しだけ山頂が雲にかかってしまいましたが)冷たい空気の中、街を歩いてみてとても気持ちが良かったです。街の主要エリアの下吉田本町通りでは晴れて富士山が見えるようになるとたくさんの人が有名なポーズ(横断歩道に四人並んで撮るポーズ)で写真を撮るために賑わっていました。

 この日私たちは吉田のうどんについてローカル食文化の取材を行いました。吉田のうどんは皆さんが河口湖に訪れる際におなじみ味噌ベースの「ほうとう」の食感とは大きく違い、歯ごたえがとても強く、(讃岐うどんよりも歯ごたえがあります)中にはいっている具もほうとうと比べとてもシンプルです。ちなみにほうとうと吉田のうどんは2007年農林水産省から「農山漁村郷土料理100選」に選ばれており、山梨を代表する二つの郷土料理と言えます。

1軒目に取材前日の夜に訪れた「バートタン」( Bar TOTAN )オーナーの推薦で地元の方にも観光客にも人気という「みうらうどん」を訪れました。ここは吉田うどんでは一般的な家の居間を利用した作りではなく、シンプルなプレハブと富士山が見える景色が魅力的なお店です。

とてもラッキーなことにお店に入ると1テーブルだけ空いていました。私たちの後に立て続けにお客さんが入ってきて(後から来た人は20-30分くらい並んでいる人もいました)席に着いた時には思わずガッツポーズしてしまいました(笑)。

個人的に印象に残ったのは月見うどんで、食感も滑らかで多くの人が訪れるのも納得です。他に感じたのはオーダーしてから届くまでの時間が短かったこと(効率よく経営をしていると感じた)と開放的なオープンキッチンで中がよく見えたことです。麺を作ったり茹でたりする様子に思わず見入ってしまいました。

 

山梨特有の馬肉文化と最硬うどん

最初、吉田のうどんと発音した時「の」に少し違和感を感じました。しかし間の「の」を省いて「吉田うどん」と発音すると、同行した日本メンバーと今回私たちの案内をしてくださった地元の方に吉田「の」うどんと訂正されてしまいました。吉田のうどんが富士吉田特有のうどんだから、吉田「の」うどんと言われているそうです。呼び方ひとつでこの郷土料理への愛やこだわりや美意識を感じました。

その他これは取材が進む中で把握できたのですが、吉田のうどんの基本の組合わせは「出汁」「最硬うどん」「キャベツ」「甘く煮た馬肉」ということがわかりました。出汁の種類はお店ごとに異なるとのことです。

唯一吉田のうどんで肉うどんがなく、吉田のうどん発祥の地と言われているのが「桜井うどん」です。

ちょうどお客さんがあまりいない時間だったので、女将さんが私たちに吉田のうどんについて語ってくださいました。メニューは吉田のうどん1種類しかなく、出汁もとてもシンプルでお肉は乗せません。一人前と半人前、冷たいか熱いかを選べます。

馬肉を食べる文化について熊本、福島会津、長野エリアの印象強いですが、なぜ富士吉田に馬肉を食べる文化が生まれたのか?

この質問を地元に人にしたところ、起源は山間地系であることと富士登山の際に馬を使って荷物を運んでいたために馬自体が入手しやすかったとのことで、このような時代背景から富士吉田に馬を食べる習慣が生まれたようです。

正直私は最初は馬肉を食べることを敬遠していました。しかし富士吉田の馬を食べる食文化を理解するようになり、実際に新鮮な馬刺しを食べてみたところ、馬肉の肉質は赤みがメインであること。食感もフレッシュで臭みがないことがわかり、過度に意識をしないで、自然に食べられるようになりました。

吉田のうどんに入っている馬肉以外に、富士吉田近辺の居酒屋に寄れば、しょうゆ、しょうが、ニンニクなどの薬味と合わせて馬刺しを食べることもできます。また、町の肉屋さんで馬肉を買って自宅で食べることも可能です。私たちは肉屋さんが閉まる前に馬肉を買って食べようとしていましたが、残念ながらお店が閉まってしまったため、居酒屋で馬刺しを食べることにしました。

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